2008年11月15日

近鉄南大阪線の車窓から


 大好きな眺めである。

 あべの橋方面に進行する電車の、奈良県と大阪府の県境に差し掛かる
あたり。

 南西に迫り来るおだやかな山並み。
 社会人になって奈良を離れるまで、毎日見ていた山並み。

 だから山を好きになったのかなあ?

 新緑のころの山肌はキミドリ色に輝いて、もううれしくてうれしく仕方
ような感じがして、「な、なんかいいことあったんですか?」 というくらい、
陽気が見て取れるようだった。

 夜更けに雨が降った翌朝に見る景色は、いつもよりシャッキリ、くっきり、
洗い立て!見て見て!と視界いっぱいに広がる。

 夕暮れどきは山全体が墨色に沈んで、うすいピンク、紫、クリーム色と
変化する空に浮かんで、昼間に見るよりもエッジ部分の木のカタチが
劇的に見える。

 今時分ならチラホラと赤黄色がまぶされ、雪を冠ればはじめて見る人の
ようにちょっとよそよそしいか、見慣れない正装のよう。

 一日のいつ見るか、巡る季節のいつ見るか、で豊かに表情を変えて
その姿を見せてくれる、山はわたしの憧れかもしれない。

 ほんとうに、しばらくぶりに通りかかった原風景。電車が山を越えるまで、
ドアの窓にかぶりつきだった。

 東側の窓からは、おおきな満月がウサギに餅をつかせながら追い掛けて
くるのが見える。となりに座る友人と、遠くにいる友人と、同じ月を見る幸せ。

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